日本FIT会


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STORY-1
TOMODACHI-UNIQLO奨学生 小池夏子さんからのメッセージ

Nov.19th, 2013

 

(この記事は、小池さんが2013年11月19日(火)に開催された「Global Fashion Management コース」の説明会参加者に寄せていただいたメッセージをQ&Aの形に編集し、掲載したものです。)

小池夏子さんのプロフィールはこちら。

 

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右端から2人目が小池夏子さん。クラスメートと一緒に。

 

 

まず、Global Fashion Managementコースをとっている学生達、つまり小池さんのクラスメートについてお話ください。

Class 2014のプログラムに参加している学生は全員で16名、年齢は20代後半~30代後半といったところです。

職業はアパレルブランド勤務、スタイリスト、グラフィックデザイナー、広告会社勤務、リテイル関係とさまざまで、留学生はインド、台湾、中国、インドネシア、韓国、ロシア、アルゼンチン、イスラエル、そして日本からと本当に多様なバックグラウンドを持った人達が集まっています。

 

授業の進め方で、何か特徴的だと感じたことはありますか。

授業はいずれもグループワークを中心としており、英語力のみでなく、積極的にプログラムに参加し発言、行動することが求められます。

アパレルの知識があることは強みにはなりますが、プログラムを通しても学べますので、入学時には、適応性と語学力、そしてアパレルやファッションへの興味があることが最も重要なことかと思います。

 

カリキュラムとそれによって得られるものとは、どんなことだと思っていますか。

前にも述べましたように、プログラムはグループワークがメインとなります。

それはFITの学生とのみでなく、提携校であるパリ、香港の学生との各国での10日間に渡るセミナー時にも求められます。それらを行うことを通じ、アパレル業界の知識だけでなく、多国籍の中でプロジェクトを実行する知識、経験そしてグローバルなネットワークを築くことができる貴重な機会であると感じています。

 

ご自身の英語力についてはどうですか?

ネイティブレベルである必要はありません。が、教授や生徒の文化、発言を理解し、自分の意見も積極的に発言すること求められます。

もちろん、課題等で苦労することもありますが、教授、クラスメイトともにとても熱心でサポートも手厚く、私自身、これまで本当に困ったということはありませんでした。

 

学校外の生活に関してはどうですか?(寮生活、友人関係、食事など)

現在はFITの寮で、10代、20代、30代の3人のルームメイトと4人で暮らしています。ルームメイトの大学生は、大学院生とは日々のスケジュールや生活スタイルが違いますので、多少すれ違いなどで苦労することもあります。

寮の場所が大学構内であり、FITのロケーション自体がチェルシーと呼ばれる、何をするにもとても便利なエリアであることから、初めてNYに住むというような場合にはベストの条件かと思います。

私自身は、来学期以降にアパートに引っ越す予定です。

食事は、寮がキッチン付きの部屋ですので、自炊ができます。付近のデリやスーパーで購入したり、友人と外食したりすることもあり、様々です。日本食品店も多いので、特に食事で困ることはありません。

ただし、NYは東京以上に家賃及びその他の物価が高いです。ですので、幸いにしてTOMODACHIフェローシップで多くをカバーしていただけるとはいえ、生活費は自分でも多少カバーする必要があります。

GFMのプログラムは基本的に週3回の授業で、その他のプログラムも17人の全クラスメイトが出席しますので、クラスメイトとの仲はとても深まります。

ですので、授業以外でも何人かで週末に出掛けたり、ディナーに行ったりしています。

私自身は、アメリカの大学時代の友人もおり、FIT以外の人達との交流も大切にしています。

また、US-Japan Council関係でもたくさんのイベントに参加させていただいており、ネットワークがますます広がっていることに、大変感謝しています。

 

最後に、留学前に懸念していたことと、実際に行かれてのご感想は?

最も懸念していたことは、大学のプログラムに自分がついていけるのか、ということでしたが、大学院は大学とは異なり、自身が今までに経験、習得してきたことを活かした上で更に学ぼうとする人々の集まりですので、自分自身が貢献できることもありますし、教授のレクチャーはもちろん、クラスメイトから学ぶことも多く、想像以上に素晴らしい経験をさせていただいており、大変感謝しています。

今後は、来年夏のユニクロでのインターンシップ及び12月の卒業後の進路も視野にいれていきたいと思っています。

 

 

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FIT大学院のディーン、教授をお招きして「懇親会」を開催

去る2013年11月18日(月)、東京、青山のアイビーホールにて来日中のお二人(Dr. Mary DavisとMs. Pamela Ellsworth)をお招きして、FIT卒業生による懇親会が開かれました。月曜日の夜という事もあり、参加できる卒業生の数は限られていましたが、各年代、様々なコースを卒業した卒業生が東京はもちろん関西からも参加し、和やかな雰囲気の中で楽しい時間を過ごしました。

お二人も異国での思わぬ歓迎に大きく感激され、改めて日本FIT会の活動と結束力に敬意を表していただきました。

2013年7月31日(水)、日本FIT会のセミナー及び懇親会が開催されました。

 

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今年3月に開催されたFITセミナー「オムニチャネル時代のファッション・ビジネス」にてコーディネーターをつとめていただいた中嶋茂夫氏(FIT卒業生)を講師としてお迎えし、「ビジネスにおけるソーシャル・メディア(SNS)の利用・活用法」というタイトルでセミナー(勉強会)を開催しました。会場は、渋谷にある「田中千代学園」の教室をお借りし、勉強会終了後には軽食での懇親会も行われました。

開催日が週中であったためか参加者数が幹事が期待していたよりも少なかったのが残念でしたが、FIT会のメンバーによるメンバーを対象にした(メンバー外も参加可)勉強会は初めての試みであり、これからもこのような形での勉強会を開催して行きたいという幹事の意見がありました。

日本FIT会主催のFITセミナー第3弾
「オムニチャネル時代のファッション・ビジネス」が
2013年3月21日に開催されました。

 

受講者募集のチラシはこちらに・・・

 

セミナーのテーマは「オムニチャネル時代のファッション・ビジネス―ブランディングと顧客エンゲイジを成功させるソーシャル・メディア活用法」です。受講者は 170名、会場の六本木アカデミーヒルズのオーディトリアムに補助席を入れるほどの大盛況でした。参加くださった皆様に厚く御礼を申し上げるとともに、「オムニチャネル」という、小売業を大きく変革する新たなビジネスのやり方に関心を持たれる方が多い事を、主催者として心強く感じました。

 

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熱気に包まれた会場の様子

受講者アンケートの結果(1/2)「受講の目的、理由」・・・

 

講師には、ニューヨークのFITからテッド・チャクター氏をお迎えしました。また、「オムニチャネル」という言葉と概念が、日本ではまだ十分理解されていないことから、セミナーは3部構成とし、チャクター氏の基調講演の前後に、第1部として「オムニチャネル時代とは」を大島 誠氏に日本語でお話しいただき、また同時通訳で行われたチャクター氏の講演の後に、第3部として、Q & Aセッションをもうけ、FITの卒業生でもある中嶋茂夫氏がコ―ディネーターで会場から活発な質疑を受ける、という形で行いました。

セミナーの冒頭には、日本FIT会会長の尾原蓉子がセミナーの狙いを、次のように述べました。「現在米国では、モバイル(スマホやタブレット)の急速な普及と、先行企業の革新的な取り組みによって、「オムニチャネル」が小売業を劇的に変えつつある。これに対し、日本は大きく遅れをとっており、このままでは、IT装備の消費者の期待にこたえられないばかりでなく、アマゾンをはじめとする海外企業との競争(日本市場での)にも敗北しかねない。」

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日本FIT会 会長 尾原 蓉子

 

セミナー受講者の満足度は非常に高く、アンケートの集計では、「セミナーの全体としての満足度」が9割以上また、「全く新しいオムニチャネルという概念が、よく理解できた」、「これから何をなすべきか、が分かった」等の声が多く寄せられました。

 

受講者アンケートの結果(2/2)「総合評価」・・・

 

 

セミナーの内容は、以下の通りです。

<第1部:「オムニチャネル時代とは」>

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講演中の大島 誠氏

 

講師の大島 誠氏は、日本でのオムニチャネル推進の第一人者で、長年にわたって外資系 IT 企業で日本の小売・流通業のためのソリューション・スペシャリストとして活躍されて居られる方です。講演はまず「オムニチャネル」とは何か、その本質は? といった基本的、かつ奥深い意味合いを、<オムニチャネルの構図>を使って分かりやすく説明されました。小売業と顧客の関係が、時代とともに「シングルチャネル(店舗と顧客の単一接点)から「マルチチャネル(複数接点)」へ。さらに「クロスチャネル(ネットで買って店舗で受取り、などのチャネルの交差が可能)」になり、そして「オムニチャネル」へと発展してきた経緯です。「オムニチャネル」が他と全く異なるのは、それが“シームレス(チャネル間の境目が無い)”なこと。また、“チャネル横断型の商品・顧客・販促管理”、すなわち、商品在庫の一元管理と、顧客情報(購買履歴を含む)の一元管理、また販促管理との連動ができるようになることです。

大島氏の「オムニチャネル時代の忘れてはならないキーワード」8項目は下記です。

  1. シームレス(業種・業態の垣根なし)
  2. 神出鬼没なお客様(いつ、どこに現れるか分からない、つかめない)
  3. スマートフォーン、タブレット端末(革新的役割)
  4. 生活に密着(Walgreen事例:“角の店”がやってくる)
  5. 4Rから5Cへ = マーケティングは真の消費者・生活者視点へ従来のアプローチ = 4R(Right Product, Price, Place, Time)5C = Customer, Content, Community, Commerce, Context、へ
  6. リアル店舗の重要性
  7. 人材
  8. 「楽しく」「わくわく」「おもてなし」

オムニチャネルの本質を大島講師は、「単なる O 2 O といった、ネットとリアルの融合戦略だけではない。『オムニチャネル』を推進すればするほど『リアル』が実は重要になる。リアル店舗は、その特性を活かす事が重要。リアルならではの『おもてなし』でいかに楽しくショッピングをしてもらい買っていただくか。そのためには、接客とそれに当たる人材が非常に重要」と強調されました。

 

<第2部:基調講演>
「オムニチャネル時代のファッション・ビジネス―ブランディングと顧客エンゲイジを成功させるソーシャル・メディア活用法」

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講演中のテッド・チャクター教授

 
基調講演の講師は、このセミナーのために米国から来日した、FIT のテッド・チャクター教授でした。チャクター氏は、米国で広告・マーケティング業界のエグゼクティブとして活躍されたのち、FIT の教授に就任。引続きマーケティングとソーシャル・メディアの先端動向を的確に捉えながら企業のコンサルタントも勤めている方です。

講演はまず、(1)米国におけるEコマースの急拡大の現状から始まり、次いで(2)ソーシャル・メディア(日本で言うSNS)の米国および世界での普及の実態、(3)ソーシャル・メディアの種類と特徴および効果的な活用法、(4)オムニチャネルに取り組む際に必要な目的の明確化、(5)企業事例、と続きました。

 

(1)米国でのEコマースの拡大:

米国では、19世紀からカタログによる通信販売が広く利用されていました。Eコマースはその進化形として発展し、いまや消費者がネットでの買い物に慣れたばかりでなく、その利便性ゆえに、今後もさらに利用を拡大すると予測されています。図に見られるように、Eコマースは、2012年で 2242億ドルに達したと見込まれており、2016年には3620億ドルになると予測されています。増加を加速するのは、チャクター氏によれば、消費者が複数のデバイスを使って多数のチャネルとつながること、および、新たにオンラインに進出しEコマースチャネルを推進するブランドが増加するため、といいます。

 

<米国におけるEコマース取引の売上総額> (単位10億ドル)

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E コマースのカテゴリー別総売上額を見ても、トップは「音楽・ビデオ」の879億ドルですが、アパレルや家庭用家具インテリア関連商品が、(当初は「現物を触らないでは買えない商品」と考えられたにもかかわらず)それぞれ第 4 位、第 5 位を占め、金額も「アパレル・アクセサリー」で785億ドル、「家庭用家具インテリア関連商品」で783億ドルになっています。E コマースは、もはや米国では日常生活に欠かせないものになってきているのです。

 

(2)ソーシャル・メディアの米国および世界での普及の実態:

ここでは、日本に関する驚くべき数字が紹介されました。図に見るように、世界各国ではソーシャル・メディアの活用がかなり進んでおり、日本の利用者の対人口比率は58%と大きく遅れをとっています。2011年のデータではありますが、主要国では中国(ソーシャル・メディアを政府が規制している)の53%に次ぐ、最下位から2番目に位置します。これはComScore Media Metix 社が2011年10月に報告している43カ国の調査結果ですが、主な国をみると、米国の98%、英国98%を筆頭に、フランス、ドイツ、ブラジルなど、すべて90%以上の普及率。アジア諸国でも、香港、インド、インドネシア、シンガポール、いずれも90%を超えています。ロシア、韓国、ベトナムでも80%台です。日本での普及率が他の国と比べて低いのは、「自分の名前を出して意見を言う」ことに慣れていないこともあると思われますが、若者への普及が加速していることから、拡大は時間の問題と思われます。また企業側がソーシャル・メディアを積極的に活用することにより、その意義を消費者が理解する、という卵と鶏の関係にあることも事実です。

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ソーシャル・メディアには多くの種類があり、それぞれ特徴があります。下記は、各種のソーシャル・メディアのアイコンです。(FITセミナー資料より)

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米国で最も使われているソーシャル・メディアは、下記の表で見られるように、Facebook、 Youtube、 Twitter、 Pinterest ですが、日本では、アクセスの多さ順位に、1. Twitter、2. Facebook、3. Mixi が利用されています。

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米国においてソーシャル・メディアを利用する利点は、次のようになっているとのことです。(マーケティング関係者への調査: % はそれが重要と答えた人の比率。 出所: Social Media Examiner, 2011)

1. 会社への注目度向上( 85% )、2. 集客・来訪者増加( 69% )、3. 的確な手掛りの取得( 58% )、4. 検索エンジン順位上昇( 55% )、5. 新規取引先獲得( 51% )、6. マーケティング経費削減( 46% )、7. 売上増加( 40% )

 

(3)主なソーシャル・メディアの特徴:

  • Facebook = ブランドの露出という点では、ブランド・ページの効果は大。顧客とのコミュニケーションの面では、ファンの引き込み、懸賞やコンテストなど、繋がるために最適。集客面では、シェアボタンでのページへの誘導は可能だが多数のクリックは期待できない。
  • Twitter = 露出面では、ホームページとの統合や、クチコミ的に顧客と繋がる独特なチャンスを提供。ブランドを目立たせる効果は大。顧客とのコミュニケーション面では、会話も可能だが、ソーシャル・メディア・ダッシュボードを利用し、キーワード検索で、人が喋っていることを確認するのが効果的。
  • YouTube = 露出面では、面白い内容のビデオでプロモートできれば、ウェブ上で最も強力なブランディングのツールとなる。顧客とのコミュニケーションでは、楽しませ、情報を与えるし、ブランドの提示が目的であれば、ビデオは早急に顧客をひきこむチャネルである。集客面では、トラフィックはビデオへ繋がる。それをホームページへ戻したければ、リンクが必要。

 

(4)オムニチャネルに取り組む際に必要な目的の明確:

オムニチャネルにおけるソーシャル・メディアの選択では、自社のオムニチャネル戦略の目標との兼ね合いで、有効なものを選ぶことが重要だとチャクター氏は強調しました。

オムニチャネルが、「あらゆるチャネル」、「顧客から見て360度の視野」を意味するからと言って、全てのチャネルに取り組まねばならないという訳ではありません。自社の戦略や、コミュニケーション手法の優先順位、資源(資金や人材)の制約等も考え、より適切なものを選択する必要があります。米国で企業が選択しているソーシャル・メディアを、多い順にあげると、 1. Facebook ( 82.4% ) 、2. YouTube  ( 41.9% ) 、3. Twitter  ( 36.5% ) 、となっています。(2012年 出所:emarketer.com )

さらにオムニチャネルの実施に当たっては、消費者の行動モニタリングが重要です。そのための KPI(重要経営指標)として、チャクター教授は5つ挙げています。重要経営指標とは、“企業のゴール(目標)へ向けた進捗状況を明らかにし、数量化できる手法”です。経営者が現状を迅速に把握し、速やかに行動をおこせるように、 複雑な要素を一つの指標であらわしたもの。対策としての行動をとれるものでなければなりません。

 

5つのKPI(重要経営指標)とは下記の通りです。

  1. コンバージョン率 = 来訪者に対する購買客の割合。
  2. 平均受注額 = 平均受注額は利益率に影響する。
  3. Visit バリュー = サイト訪問全体に対する利益の割合。
  4. 顧客ロイアリティ = 新規顧客の既存顧客に対する割合。
  5. 検索エンジンからの照会 = 業界平均に対する、検索エンジンからの照会の割合。

 

(5)オムニチャネルを実践している企業事例:

セミナーでは4企業が紹介されましたが、ここではメイシー百貨店を紹介します。

米国のみならず世界で最大の百貨店、Macy’s社の事例は、伝統的な百貨店からオムニチャネル小売業者に変換した象徴的事例として紹介されました。

メイシー百貨店が取り組んだオムニチャネルに関する施策を上げます。まず、顧客サービス向上のために店員にモバイル機器を支給。また在庫管理を効率的にするため商品には無線タグ(RFID)をつけ、店舗に無い商品はネット在庫あるいは他店舗在庫から‘顧客に直配’できる体制を作りました(2011年には、そのように直配された商品が700万点以上に上ったとの事)。

また、オムニチャネルとあわせて取り組んだ“My Macy’s 戦略”(顧客へのパーソナル化、ローカル化の戦略)に絡んで、異なる時間帯に買い物をする色々な顧客に対応するために、いつでもすぐに着替えができるデジタル・マネキンを用意しました。さらに、部門または日時によってビデオを編集できるよう、新しいビデオの放映システムを完備し、店頭でのショッピングをオンライン体験と似たものにする為、店内にキヨスク(顧客用端末)を設置しています。つまり、従来の店舗が、リアルとデジタルのブレンドに変わりつつあるのです。

これらと多様なPB戦略もあわせ、メイシーは、まさに「顧客セントリック」、すなわち“顧客が主体的に”店舗・モバイル・ネット・店舗キヨスクなど、あらゆるチャネルでシームレスに買い物できる体制を作り上げています。

その結果、オンラインの売上金額が2010年から2011年で40%増、2012年12月で51.7%増、2012年累計で40.4%増になったと言います。

 

<第3部:質疑応答>

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「質疑応答」のチャクター教授(写真:左)と中嶋茂夫氏(写真:右)

 
中嶋茂夫氏のコーディネートによるQ & Aセッションでも、活発な質問が呈示されました。中嶋氏は、ソーシャル・メディアのコンサルタントとして、中小企業の指導もしておられることから、質問に対するチャクター講師の答に加えて、日本の実情を踏まえた解説や、中嶋氏自身の経験に基づくアドバイスを加えて頂いた事が好評でした。

質問を一部紹介します。
「米国ではウォルマートやメイシー等の大手総合小売業がネット販売比率が高いが、日本では、それが低い理由はどこにあると思うか」との質問については、「自社が扱っている商品の在庫をリアルタイムで完全に把握できない現在の状態では、顧客に満足してもらえるネット販売は難しい。委託販売等の商慣習が障害になっているのでは」とのチャクター講師のコメントがありました。「その中であえてオムニチャネルに取り組むとすれば、差別性ある、すなわち価格競争に陥らない自社商品を増やすこと。大事な顧客を重視しサービスのカテゴリー化をする、などもできる。」とも。

「ネットやモバイルの使用に慣れていない、年配の顧客には、どのような取り組みをしたらよいか」といった質問もありました。チャクター講師は、「まずは、ネットでの買い物をし易くすること。心理的バリアを取り除くことが重要。たとえば、返品を容易にする。米国では、ボノボ社のように、1年後でも返品を受け付ける、あるいはノードストロムは3年前に購入したものでも、返品を受け付ける、などをしている。配送料を無料にすること、あるいは、顧客に対して『サイズや色などを多めに注文して、不要なものを返品してもらってもいい』と訴求する企業もある。」とのことでした。

 

<最後に>

「オムニチャネル時代」という、まったく新しいコンセプトを紹介し日本での取り組みを早めたいという狙いで企画しましたが、参加者の方々には、かなりのご満足をいただいたようでした。セミナーは、質疑も入れて3時間足らずの時間でしたが、アンケートで、「プログラムの組み立て」と、「各講師のプレゼンテーションの内容」、さらに「多くの資料」と「高レベルの同時通訳」、が高い評価をいただいた事を、主催者として大変嬉しく思います。

参加者の皆さま、関係者の皆様に、厚く御礼申し上げます。

(文責 尾原)

 
 

4月16日付の「繊研新聞」において、当セミナーが取り上げらました。
記事のpdfはこちらに(無断転載禁止)

 
 

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アンケート結果 — 1/2 「セミナー受講の目的、理由」

 

セミナー受講の「目的」や「理由」などについて、回答数が多かったものをご紹介します。

 

  • 「新しい消費行動に対応する、オム二チャネル戦略が重要であると考えたから。」
  • 「オム二チャネルの理解を深め、新しいビジネスチャンスを獲得するためのヒントが欲し
    かった。」
  • 「SNSのツールをどう活用し、それぞれにどのような効果があるのか見極めたかった。」
  • 「小売業の最新潮流を知る為。世界の変化と日本の実情を知る為。」
  • 「ECビジネスの発展、店舗とECの連動強化。」
  • 「百貨店でのSNSの活用へのヒント、現状のアメリカの事例を学びたかった。」

 

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アンケート結果 — 2/2 「総合評価」

 

セミナー終了直後、受講された皆さんにアンケートにご回答いただきました。(有効回答数:135)

 

1.セミナー全体としての満足度について

「非常に良かった」及び「良かった」と答えた方の割合が9割以上となり、高い満足度をいただけたことが分りました。「非常にタイムリーな企画、三部構成も良かった」とのコメントも多数いただきました。

 

2.プログラムについての個別評価

大島 誠氏、テッド・チャクター氏、中嶋 茂夫氏の各講演内容についても「非常に良かった」と「良かった」と答えた方がすべてのプログラムにおいて8割以上で、各プログラムに対する満足度も、かなりの高い評価をいただきました。

 

3.受講者から各講演に対する主な感想コメント

■「オムニチャネル時代とは」大島 誠氏

  • 導入部として最適。資料配布をありがとうございました。
  • オムニチャネルという言葉の定義がよく理解できた。
  • オムニチャネルが進化するにしたがって、店舗での接客・パフォーマンスの重要性が増すということが分った。

■「基調講演」テッド・チャクター氏

  • 日本より進んでいるアメリカの最新事情を、データと合わせて聴講できたのは有意義であった。
  • 講演内容にボリュームもあり、今後の行動指針やビジネスに参考になった。
  • 事例を交えた説明は大変に参考になった。オムニチャネルの究極は、価値を求める商売の基本であると思った。
  • 豊富な資料やデータが、非常に参考になった。

■「質疑・応答」司会  中嶋 茂夫氏

  • ご自身の経験を織り交ぜて話してくれたので良かった。
  • 的確な補足が分かりやすかった。
  • 適切なファシリテートがあり、短時間だったが内容が濃かった。

 

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2012年12月7日
日本FIT会Year-end Partyが開催されました。

 

日本FIT会恒例の年末パーティーが12月7日、東京は青山の「アイビーホール」を会場として行われました。今年は、3月に多くのFIT卒業生が集まったラルフ・ローレン旗艦店でのレセプションがあったためか、参加者の数は例年よりも少なめとなったのは残念でした。しかしながら、卒業生が約半数、ゲストが半数という参加者の構成で、全員の自己紹介やPRを行う時間を十分に取ることができ、密度の濃いネットワーキングを行うことができました。

 

会の途中、尾原会長が2012年度の日本FIT会の活動について紹介した後、来年3月21日に予定されている次回のセミナーの概要や趣旨に触れ、また、FITが奨学生の対象校として指定されている3校のうちの1校となっているファースト・リテイリング社の「TOMODACHI-UNIQLOフェローシップ」プロジェクトに関しても説明を行い、参加者の多くが関心を高めました。

 

●2013年3月21日開催(予定)の次回セミナーに関して、詳しくは・・・
●「TOMODACHI-UNIQLOフェローシップ」プロジェクトに関して、詳しくは・・・

 

会の最後には、会員や会員が勤めている企業からプレゼント品の提供を受け、
素敵なクリスマスのラッフル・プレゼントが当選者に手渡されました。

 

この場をお借りいたしまして、今回の会に際しプレゼント品をご提供いただきました個人・企業の皆様に御礼申し上げます。

 

日本FIT会 幹事一同

パネル・ディスカッションの詳細

 セミナーの第2部では、起業・リーダーポジションの視点から 「ファッションビジネスキャリアにおける留学の意義」をテーマに、ファッション業界の第一線でグローバルに活躍中の4名のFIT卒業生をパネラー及びモデレーターとして迎え、各パネラーのFIT留学時の話を中心に、貴重な体験談を伺いました。

 

伊藤弘子 Menswear Design / 90卒

ゼロゼロエスエス株式会社代表取締役。FIT卒業後、コムデギャルソンを経て、2001年から東京コレクションに参加するHISUIのデザイナー。現在はロシアや韓国でもショーを行い、世界中で活躍。

布谷千春 Fashion Design / 82卒

株式会社フォルトナボックスを代表取締役。FIT卒業後はコルクルームを経て、フォルトナボックスを創業。ファッション情報分析、流行色の発信・提案など、各種媒体で活躍。

村上潤 Fashion Design / 02卒

株式会社オンワード樫山 シンガポール代表取締役社長。国内で商品企画・MDを5年間勤務後、08年の香港を経て、10年からシンガポールの代表として東南アジアでの事業展開を担う。

江草未由紀 Fashion Merchandise Management / 99卒 (モデレーター)

住友商事株式会社ブランド事業部課長。FIT卒業後、米国コーチ社との合弁交渉に携わり、コーチ・ジャパン株式会社に出向し、ブランドマーケティングに携わる。現在、コスメ新業態開発プロジェクトに従事。

 

Q1 なぜ留学をするに至ったのか、なぜFITだったのかを交えつつ、簡単に自己紹介をお願いします。

 伊藤: 初めは英語を学ぶ為にボストンの女子大に入学しました。 そこで色々な方々との出会いや出来事の中で刺激を受けるうちにファッションを学びたいと強く思い、1年後NYに移りました。

布矢: 父親が米系航空会社に勤めていたので、幼いころからアメリカが身近でありました。 親元を離れ、アメリカで自立した生活を送ると自ら成長出来ると思い、好きなファッションを学ぶならNYのFITへ留学するという思いが強くありました。

 村上: 日本の大学在学中はビジネスを学んでいましたが、クリエイティブな仕事がしたいと思い、卒業してまもなくFITに入学しました。 FITでは1年半在学していましたが、日本人として、日本のファッションを世界に発信したいと強く思い、日本へ帰国しました。

 

Q2 留学中は、どんな学生生活を過ごしましたか?

 伊藤: ボストンの女子大時代に出会った人との交流をする中で、自分の将来の道を発見しました。
FIT在学中は常に服作りに励んでいました。 夜中まで夢中でミシンを踏んだり、教室の隅で作業しながらクラス見学をしたりしていました。

 布矢: 80年代に渡米した当時は1ドル260~280円の時代でした。日本では何不自由なく暮らしていましたが、NYでは金銭面で大変苦労しました。 FITの授業では、生徒が先生に対して正々堂々と反対意見を述べることが出来る、そんな環境にカルチャーショックを受けたことを今も忘れません。
先生も、生徒が間違っていると分かっていても、常に真正面から生徒と向き合い、接していました。

 村上: 留学中は学校の寮で1年間生活をしましたが、外国人とのルームシェアはとても新鮮でした。 ルームメイトと寝食を共にしていく中で、全く異なった文化や国を超えてお互いの理解を深め合う事出来たと思います。 NYに観光で訪れるのと、実際住んでみないと分からない事がたくさんあります。 NYは世界でもまれにみる多種多様な人種の街です。その中で生活する毎日の日々が刺激的でした。

 

Q3 一連の留学生活を通じて、自分にとって一番大きな収穫とはなんですか?

 伊藤: 留学以前は常に周りの目を気にしている臆病な部分がありました。 NYという街は人種のるつぼ。 日本では体感出来ない自己表現力が身に付き、精神的にも体力的にも強くなる街です。 私自身はファッションで自分の道を切り開きたいと思い、踏まれても立ち上がる勇気も持って、“服作り”で自分自身を表現する事に挑戦していけたと思います。

 布矢: FIT美術館で現役時代のシャネルスーツに触れたことに感動しました。NYに住んでいるとストレスや苦労が多いが、NYで生活出来ると、どこへでも行ける自信になりました。失敗も多かったですが、その失敗の連続の中で大変な事を乗り越えていかないと成長出来ない、と気付いた事が一番の収穫でした。

 村上: 海外慣れした事。 慣れるというのは、「順応できる」という事。 赴任後は現地の人達と仕事をする中で交渉しなければなりません。 その際、NYで身に付いたコミュニケーション能力、外国人の方々に対して抵抗感無く接する事が出来るようになりました。

 

Q4 卒業後、どのようにして就職をしましたか?またその後、どのようにして今のキャリアを形成しましたか?

 伊藤: 帰国後はスタイリストのアシスタントのアルバイトをし、日本文化を学ぶべく染色を勉強していました。 その後、27歳でコムデギャルソンに入社し、自分のブランドを立ち上げる為、5年後に独立しました。NYで生活する中でチャンスを嗅ぎ分ける術を身に付けることが出来たと思います。

 布矢: JFFの時にお世話になった方のご紹介で、コルクルームに就職しました。 私自身、物怖じしない性格ゆえ、人との出会いの中で、自ら新しいクライアントを開拓していき、会社での売上はトップ。 その後、独立させてもらい起業することが出来ました。

 村上: オンワード就職後、MDとして日本で5年間勤め、自ら海外勤務へ志願し、08年に香港へ赴任、10年よりシンガポール在中。 現職ではアジア事業展開に携わっています。

 

Q5 最後に、これから留学しようとしている若き後輩に、アドバイスを一言ずつお願いします。

 伊藤: 海外で様々なバックグラウンドの人と出逢い、コミュニケーションを図ることで新たな自己発見が出来ると思います。 自分に自信を付ける為にも、事前にしっかりと英語力を付けておくことは必須です!

 布矢: 留学を迷っているなら、まず一歩踏み出してみること。 留学に失敗はありません。
多様な人種の方々との触れ合いの中で、自分自身を開拓し、自らのアイデンティティーを確立することが出来ると思います。 また、海外に身を置くことで、改めて日本人としての美意識や凛とした強さ、そして物事を固定観念で捉えない柔軟さを肌で体感することができると思います。

 村上: 何事も計画性が大事だと思います。留学後に、自分は何がしたいかという明確なビジョンを持つことで、将来に繋がると思います。 あとインターンはぜひ経験しておく事ですね。

 

<総括>

  江草: 今日は「留学」をテーマにして、「グローバル人材」とはについて議論してきましたが、これを総括すると、やはり冒頭の「自立」に集約されると思います。留学体験を通じて、伊藤さんは「将来の道」を発見し、「自己表現」に対して前向きになった、布矢さんは「精神的・物理的な自立」を果たし、日本人としての「しなやかな強さ」を獲得した、村上さんは「海外慣れ」によって、赴任後の活躍の場が広がった、と仰っています。

これからのグローバル時代、外国人と渡り合い、競争に打ち勝っていく為には、相応の能力や見識、多様な価値観を受入れる柔軟性に加えて、やはりこれらに裏打ちされた「自立」により、一人の人間として信頼されることが、益々重要になってきます。留学は一つの方法にすぎません。が、もしその必要性を感じたら、まず一歩踏み出してみること。 人生の成否は、ちょっとした出逢いや気づきがきっかけとなり、取る行動の積み重ねで決まります。

今日のこのセミナーが、皆さんにとって、そのきっかけの一つになれば嬉しく思います。

 

要約:江草未由紀・渡邊真理子

 
 

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2012年6月28日
FITセミナーシリーズ第2弾
「ファッションビジネスにおける留学」開催

 

 
お礼とご報告

日本FIT会会長 尾原蓉子

日本FIT会では、「ファッションビジネスにおける留学」セミナーと懇親会を、さる6月28日に東京大学伊藤国際学究センターで開催しました。

 

おかげ様で定員をはるかに超える方々に参加頂き、セミナーおよびパネル・ディスカッションも非常に密度の濃いものだったと御好評を頂きました。懇親会も熱気にあふれ大いに盛り上がり、主催者として嬉しく、有難く思っています。

参加者の方々、ご支援を頂いた企業や大学関係者、また講師やパネラー、そして日本FIT会の企画運営委員の皆さんに、心より御礼申し上げます。

 

簡単なご報告をしますと、この「留学セミナー」は、今年3月に㈱ファーストリテーリングの柳井正CEO兼会長やFITのJ・ブラウン学長などを講師に開催し大好評を頂いた「FIT特別セミナー」の第2弾として企画しました。(セミナーの内容は、チラシをご覧ください)
チラシはこちらへ→

 

「留学」をテーマとした理由は、(1)グローバル人材が不可欠な時代に入っている。にもかかわらず、(2)日本の内向き志向。とくに若者が留学や海外駐在に躊躇する傾向。(3)FB関連企業が、海外留学を推進したり留学体験ある人材の活用に積極的でない状況、などに危機感を感じたことにあります。

 

 

基調講演の講師、FIT准教授のエリカ・ローバックさんは、FITの特徴と留学生むけのOPT(Optional Practical Training=企業での実地訓練)プログラムについて話して下さいました。

 

FITの全日制学生数は、2011年秋学期で1万300人ですが、そのうち留学生は11%の912人(67カ国)。 国別のトップは韓国で376名(留学生の41%)、ついでカナダ、中国、日本は6番目。残念ながら日本からの留学生は、2005年からの7年間で83%減少し、現在は28人(3%)になっているという事でした。

46ある専攻の中で留学生が最も多いのはFashion Designで239名、ついでFashion Merchandising Managementが182名、Advertising & Marketing Communicationの60名。日本人の最多専攻はFashion Merchandising Management、ついでInternational Trade & Marketing, Communication Designとなっています。

OPT(企業での実地訓練)は留学生の80%以上がとっている選択プログラムです。これは専攻の勉強(2年)が終わった後1年間、実際にアパレルや小売企業あるいはデザイナー・ブランドに訓練生として就職し、現場体験を得るもので、報酬が得られる場合もあります。FITは実学を理念とし、1クラス最大25名の参画型教育を行っていますが、OPTは “2年+2年”の学位コースを設置しているFIT独特のプログラムで、他の大学にはありません。

ローバック氏のこの度の来日は、日本の大学の現状と留学に関する実態調査のため米国フルブライト委員会の派遣によるものですが、FITばかりでなく米国への日本人留学生が激減していることは非常に残念だ、と述べられました。

 

 

経営者の視点からの基調講演は、「今なぜグローバルなのか。求められるグローバル人材とは」のテーマで、(株)サンエーインターナショナル代表取締役社長 三宅 孝彦氏(FIT卒業生)にお願いしました。

 

三宅社長は、同社の1980年代以降の海外展開を、業界と時代背景を踏まえながら具体的に説明。時代と共に「グローバル化」の意味が変化していった経緯、また同社の「オリジナル」「ライセンス」「インポート」「グローバル・ブランディング」それぞれのポートフォリオが求める人材像を紹介し、グローバル人材の重要性を語られました。

まとめの「次世代に向かって求めたい人材像」では、「右手に感性、左手にそろばん」を前提に、4つの人材イメージ(下記)を提示されました。

1.発展途上人間:ポイントは

  (1)自律的に進化・自己成長出来る資質・志向 (2)狩猟性 (3)実行感度

2.フリークス:ポイントは

  (1)物事の本質を深く端的に掘り下げられる (2)アマチュアリズム (3)アンバランス

3.多様性を孕んだチームへのコミット:ポイントは

  (1)コミュニケーションでイニシアチブとれる (2)視野を広げられる (3)柔軟性

4.突破力:ポイントは

  (1)型にはまらない発想力 (2)孤高の人

非常に示唆に富み、また説得力ある講演で、参加者から、とても参考になった、大いに啓発的された、等のコメントを頂きました。

 

 

パネル・ディスカッション「ファッション・ビジネスのキャリアにおける留学の意義」では、FIT卒業生のパネラー、伊藤弘子氏(HISUIデザイナー)、布矢 千春氏(ジャーナリスト)、村上 潤氏(オンワード・カシヤマ・シンガポール社長)およびモデレーターの江草 未由紀氏(住友商事ブランド事業部課長)が、自身の体験をもとに留学の意義や後輩へのアドバイスを述べ、大いに盛り上がりました。

 
パネラーの方々が「最大の収穫」として上げたのは、「自立。自己表現に対する自信」、「どんなことにも物おじしない姿勢と責任感」、「海外慣れしたことで現地人の目線で、自然体で外国人に対応できるようになったこと」でした。

 

パネル・ディスカッションの詳細は、こちらへ

 

セミナー全体のメッセージともいえる、「留学に失敗は無い。迷ったら留学を」は、若い学生さんたちを、大いに元気づけたようで、このセミナーを開催して本当に良かったと思ったことでした。

以上

 

 

懇親会のご報告

  

セミナー後、会場を「ファカルティクラブ」に移して行われた懇親会には、セミナー受講者の大半がそのまま参加。その中に企業の人事部門担当者、ならびにセミナーの講演者、パネラー、その他のFIT卒業生そして日本FIT会の幹事が加わりました。

開会早々セミナー参加者は小さなグループに別れて留学体験者を囲み、これまで疑問に思っていたこと等を質問するというシーンが会場のあちらこちらで見受けられました。これから留学を目指そうという学生・社会人にとって体験者との直接的なコミュニケーションは、これまで漠然としていた自己の留学に対するイメージをかなり具体的なものとするきっかけになった様子です。

同じ方向を目指す同年代の人達との会話を通したネットワーキングも盛んに行われ、会は予定の閉会時間を大幅に超過する大変な盛り上がりを見せたとともに、参加者全員にとって貴重な時間となりました。

2012年3月21日
FIT特別セミナー「グローバル時代の人材育成とJapan Fashion」
開催

 

FIT特別セミナー「グローバル時代の人材育成とJapan Fashion」は、おかげ様で非常なご好評をいただきました。参加頂いた方々に御礼を申し上げるとともに、応募者が定員を遥かに超えたため、やむをえずお断りさせて頂いた方には、心よりお詫びを申し上げます。

 

セミナーでは、まず後援を頂いたJFW理事長三宅正彦氏により、今回の東京ファッションウィークの意欲的な新企画への期待と、震災1周年を期して日本にエールを送るため来日したFIT学長以下6名への謝意、がのべられました。

 

 

セミナーの講師は、(株)ファーストリテーリングの柳井正会長兼CEO、FITのジョイス・Fブラウン学長、FITミュージーアムのヴァレリー・スティール チーフ・ディレクターでした。講演の内容については、講師別に担当幹事がご報告しますが、はじめに全体として特に私の印象に残ったことを、まとめてお伝えします。

 

 

●柳井正氏の講演「日本企業及び日本のプロフェッショナルはどうあるべきか」のメッセージは、「東日本大震災が新しい日本を作る絶好のチャンスなのに、日本では何も変革が起きていない」。「どんな時にも、個人と企業は生き残らないとだめ。そのためには『世界に出てゆく』、『アジアの時代をテコに』、『限界を設けるな。荒唐無稽の事を考えよ』、『人と違うことを恐れるな』、『他からどんどん学ぶべし』、『スピードが不可欠』、『日本の強みを知り、誇りを持って臨め』、『成功にはブランディングが不可欠。商品だけでなく企業・想いを語れ』でした。

講演の詳細 – 1

 

 

●ブラウン学長のテーマは「次代を担う人材をどうつくるか―FITの革新的取り組みは」。学長はFITの強みが、創立時からの「業界との密接な連携」と「一般教養の重視」にあるとし、急速に変化するファッション関連産業(ライフスタイル産業)に対応してカリキュラムや教育内容・手法を大きく変化させている事例を紹介。特に2020年へむけた戦略ビジョンの5つの目標、そのための「未来の教授陣」に求める5つの資質、について熱っぽく語られました。「2020年に入学する学生は今8歳。彼らに何を、どう教え、どのような成長を促すかは、いま真剣に取り組むべきこと。戦略目標を着実に実行にうつしている」。

講演の詳細 – 2

 

 

●ヴァレリー・スティール氏は「外国人が見る日本ファッションの誇るべき強み―そのマーケティング方法は」の演題で、日本が平安時代から「ファッション」を褒め言葉として使ってきた先駆的文化であること。歴史を見ても、わび・さび、粋、鹿鳴館が象徴する西洋服の戦略的導入、戦後台頭した若者文化とファッション族など、世界でもユニークな美意識と洗練度を持つ強みに言及。日本デザイナーの創造力を商品化しマーケティングするためのヒント(世界的人気のポップカルチャー活用も含め)を紹介。外国人が買いたいのに、買える場(手段)がない、サイズが無い、情報が無い、では誠に残念、と強調されました。

講演の詳細 – 3

 

 

 

日本FIT会では、これからも、業界にお役に立つプログラムを企画したいと考えています。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

日本FIT会会長
尾原蓉子

 

 

今回のセミナーにご参加いただいたのは、一般企業人、FIT卒業生、学生、教育機関関係者およびマスコミ関係者など広範囲な分野の方々で、出席者数は当初予定の人数をはるかに上回る総勢160名に及びました。
なお、当セミナーの様子はU-Streamを介しリアルタイムでニューヨークにも送られ、現地の2会場に集まった200名を超えるFIT学生、FIT関係者および業界の方々にも視聴されました。
今回のセミナーは、FIT本校が国外の同窓会組織の協力を得て行う初めての試みとして、企画時より学校内外で大きな注目を集めるとともに今後のFITおよび日本FIT会の活動に関し新たな可能性を示唆するものとなりました。

セミナーの概要および講師の略歴は、このpdfファイルをご覧ください。