日本FIT会


活動報告

第5回目となるFIT大学院GFMコースのインフォメーション・セッションが開催されました。 

さる2017年11月20日(月)、18:30~20:30 第5回目のFIT大学院のGlobal Fashion Management(GFM)コースのInformation Sessionがファーストリテイリング社の会議室をお借りして開催されました。例年通り、FITからはFIT大学院の長(Dean)であるMary Davis氏と学部長であるPamela Ellsworth氏が講師として参加。FIT大学院とGFMコースに関して詳しい紹介を行いました。

また、今回は当コースを卒業し東京の企業に勤務して活躍している平木裕子さんと留学経験が豊富でFITのファッションデザイン科でも学んだ経験がある前田舞子さんが、それぞれの留学体験談を披露し、これからFITへの留学を目指す人達にとってまたとない情報収集の機会となりました。

なお、このコースにはTOMODACHI-UNIQLO奨学金が用意されており、FITのadmission(入学許可)を得た人が対象となります。関心がある方はぜひ、FITのGFMコースにご応募ください。

 

 

第4回 FIT大学院GFMコース説明会が開催されました。

さる2016年11月21日、18:30~20:30恒例になったGFMコースのInformation Sessionがファーストリテイリング社の会議室をお借りして開催されました。例年通り、FITからはFIT大学院の長(Dean)であるMary Davis氏と学部長であるPamela Ellsworth氏が参加。FITとGFMコースに関して詳しい紹介を行いました。

今回は、当コースを卒業し東京の企業に就職して活躍している保田優衣さんと現在GFMコースに在学中の平木裕子さんが、それぞれにGFMコースでの体験を披露し、これから留学を目指す人達にとって又とない情報収集の機会となりました。

今回の参加者はこれまでの参加者数に比べると、やや少なめではありましたが、それだけに講師がいろいろな質問にも答えることができ、会場は21:00を過ぎても多くの参加者が残って講師に質問をしている姿が見られました。

なお、このコースにはTOMODACHI-UNIQLO奨学金が2017年度も1名分用意されています。FITのadmission(入学許可)を得た人が対象となります。関心がある方はぜひ、FITのGFMコースにご応募ください。

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2015年11月24日(火)、第3回FIT大学院GFMコース説明会が開催されました。

さる11月24日(火)、第3回目となるFIT大学院GFM( Global Fashion Marketing )コースのインフォメーション・セッションが60名を超える参加者を迎えて開催されました。会場は、ファーストリテイリング社のご好意により、同社の大会議室をお借りしての開催となりました。

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参加者にごあいさつする日本FIT会会長 尾原蓉子

まず、FITへの留学経験を持ち、それぞれファッションの世界で活躍している布矢千春氏(杉野学園ドレスメーカー学院 院長)と馬場基臣氏(株式会社リボー 代表取締役)のお二人が、留学時代の経験や帰国後の経験などについて語り、これから留学を目指そうとしている多くの参加者に対してFITへの留学の意義について語り合いました。

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布矢千春氏
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馬場基臣氏

次に、現在実際にGFMコースを履修している3名の日本人の中から、来春卒業予定の保田優衣さんが自分の経験をもとにGFMコースをレポート。大学院での集大成となる自身の課題の取り組みについて臨場感たっぷりに語り、参加者にとって大いに役立つ情報提供となりました。なお、3名のうちの他の2名が出演するビデオ・メッセージも下記動画にてご覧いただけます。
 

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プレゼン中の保田優衣さん

最後に、毎回このセッションのために来日されているお二人のFIT教授(FIT大学院ディーン/Dr. Mary Davis氏およびFIT大学院教授/Pamela Ellsworth氏)が、学内の最新データと共に、それぞれの立場から、FITの大学院とGFMコースについてのプレゼンを行いました。

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Mary Davis教授
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Pamela Ellsworth教授

締めくくりの質疑応答では、さまざまな質問が飛び交い、特にFIT教授陣に対しての質問を堂々と英語で行う参加者の姿が印象的でした。質疑応答には十分な時間を確保したつもりだったのですが、まだまだ聴き足りないという様子の参加者もいて、何人かは翌日に教授陣が宿泊されているホテルを訪ね、個別にカウンセリングを受けました。お忙しいスケジュールにも関わらず、そのような時間をとっていただいたFIT教授陣の好意と熱意に感謝いたします。
 

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次々と質問に立つ参加者

 
なお、今回のインフォメーション・セッションの講師の方々のプロフィールは、こちらをご覧ください
 
日本FIT会では、今後もFIT留学に関するセミナーを継続して行う予定ですので、ご本人だけでなく、周囲にご興味をお持ちの方がいらっしゃいましたら、ぜひ、当ホームページを継続的にチェックしていただきますようお伝えください。
なお、GFMコースのインフォメーション・セッションは、この時期(11月下旬)に開催される予定となっています。

2015年8月3日、日本FIT会の総会および懇親会が
開催されました。

南青山の「アイビーホール」で開催された今回の会、卒業生はもちろん、現在在校生で一時帰国している留学生やこれから渡米する予定の留学生など、FITに関係するさまざまな年代の参加者が集まりました。

総会では昨年1年の会の活動報告、会計報告が行われました。その後、本年4月より杉野学園、ドレスメーキング学院の院長に就任した会員の布矢千春さんの紹介が行われ、参加者全員でお祝いをしました。

その後、現在ユニクロの奨学生としてFIT大学院のGFMコースを履修している保田優衣さんによってコースについての途中報告が行われ、これからFIT留学を目指す若い世代の参加者に大きな刺激となりました。

 

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会場を移して行われた懇親会では、飲み物を手にテーブル上の料理を囲み、世代を超えて「和気あいあい」と語らいを楽しむ姿が見られました。月曜日の開催ということもあり、参加者数が例年より少なかったのが残念でした

 

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2014年11月25日(火)18:30~
FIT大学院のGFM (Global Fashion Management)コース
および関連したファーストリテイリング社の
奨学金に関する2回目のインフォメーション・セッションが
開催されました。

「ファッション ビジネスで、グローバルに活躍する」をテーマに、米国FITから二人の教授を招き、「米国における大学院教育の進化」とFITのユニークな修士課程「Global Fashion Management(GFM)コース」について紹介するセッションを、昨年に続き開催しました。

参加者募集時のチラシ(講師プロフィール)はこちら

このFITの大学院コースには、ファーストリテイリング社(ユニクロ)の留学奨学金が、日米カウンシルの「TOMODACHIプロジェクト」として設置されています。

会場は東京ミッドタウンにあるファーストリテイリング本社の会議室をお借りする形で開催され、受講者は留学を希望する学生や社会人、企業の人事担当者、大学の学生キャリア指導者など約50名。

今回は前半に、「留学とキャリア」と題し、現在業界で大活躍をされているFIT卒業生の江草未由紀さん(住友商事株式会社広報部 部長代理)と都築千佳さん(WWDジャパン編集長)の2人に対し日本FIT会会長の尾原蓉子がモデレーターとして、参加者の多くが興味を持っているであろう経験談等を聞き出すというパネルディスカッションがありました。

 

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後半、FITの2人の教授が啓発的なプレゼンを行い、受講者は熱心に聞き入っていました。続いて行われた質疑応答の時間では、時間一杯多くの質問が出され(多くは英語にて)非常に熱気あふれるセミナーとなりました。

 

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また、TOMODACHI-UNIQLO奨学生の第2号でこの秋からFITで学んでいる2人の留学生(保田優衣さんとダグラス楊さん)からのビデオ・メッセージが紹介され、GFMコースの臨場感が伝わり、セミナー参加者にとって、強い動機付けとなりました。

 

ビデオメッセージはこちら

 

日本FIT会としては、今回のセミナーは大成功であったと自己評価しており、今回の受講者の中からGFMコースへの留学希望者が増えることを期待しています。

最後になりましたが、このインフォメーション・セッションの開催にあたり、ご協力いただいた皆様に心より感謝いたします。

 

 

(文責:日本FIT会事務局 / 青木)

2014年7月12日
FIT留学インフォメーション・セッション第3弾
「ファッション・ビジネスにおける留学の意義」が
開催されました。

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日本FIT会は、さる7月12日 (土)、昨年に続いて“第三弾 留学セミナー”を六本木ヒルズにあるハリウッド大学院大学の教室を会場として開催しました。当日は台風通過直後の猛暑の中にもかかわらず、留学に対して高い志を持つ大勢の参加者が集まりました。

今回のセミナー構成は、 ニューヨークと日本を拠点に活躍されるバッグデザイナーの中野和代氏 (株式会社スリーワンセブンデザインズ 代表取締役) による「私を起業させたFITでの学び」を基調講演とし、(株)ユニクロ グローバルマーケティング部在籍の北村文人さんをはじめとするFIT卒業生3名と今秋より入学予定の1名によるパネルディスカッション、そしてQ&Aと続きました。

 

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講演する中野和代氏

 

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それぞれの分野で活躍する4名のパネリスト

 

終了後もパネリストに対する個々の熱心な質問が絶えず、会場には閉会後も多くの方々が残っておられたのが印象的でした。また、来場者同士が連絡先を交換している姿も見受けられ、思わぬネットワーキングの場となったことにも収穫を得たように思います。

今回、会場をご提供いただいたハリウッド大学院大学の関係者様、並びに講師やパネリストの皆さまへ、この場を借りて御礼申し上げます。また、セミナーで紹介しました出身国別や学科別の最新留学生データ(PDF)については、ニューヨークFIT本校のご協力がありましたことを深く感謝いたします。

  • セミナーの構成、中野和代氏のプロフィールについては、参加者募集用のチラシPDFをご覧ください。
  • 2013年度の最新留学生データは、こちらのPDFをご覧ください。

ここで当日「ファッション・ビジネスにおける留学の意義」のテーマで展開された幾つかの内容を、参加者のアンケート結果と共に、手短に振り返ってみたいと思います。

“ブランド成功の要因は、日本人の物作りの技と色彩感覚や自分に内在する和の精神に、ニューヨークで学んだ実質的な販売を重視するビジネスを融合したことにある”と熱く語って下さった中野氏。ニューヨークのファッション業界でノウハウを学んだ後、ダナ・キャランに就職。そこで“テクニカルデザイナーというポジションを自ら開拓した”という。この思いもよらない発想は、参加者のみならずスタッフ一同が心を突き動かされました。中野氏はその後、デザイナーとしての仕事も得て、売上額のみが重視された経験や、他のデザイナーとの熾烈な競争に勝ち残った実績などを基に起業。やがてご自身の名前を冠したバッグがニューヨークの有名デパートに並ぶまでになった、というお話には、背中を強く押されたデザイナー志望者が大勢いました。

FIT卒業生等によるパネルディスカッションおよびQ & Aセッションでは、留学に対する不安を抱えながらも挑戦し、自らのキャリアを切り開いてきたパネリストが、参加者目線でさまざまな質問に回答しました。何故FITなのか、どのような経緯で入学できたか、といった質問から始まり、FITのホームページからは得られない学部ごとの授業風景や課題の内容、クラスメイトの雰囲気などが語られました。色々な学部卒のパネリストが揃ったお陰で、まだ志望する学部を迷っておられる留学希望者や、転部などに備えて必要な情報を提供出来たように思います。また、FITが併設している“生涯教育クラス”にも触れ、上手な利用の仕方を幾つか提案しました。インターンシップや就職に関しましては、校内にあるキャリアセンターの説明や、お配りした過去の日本人留学生のインターンシップ先のリストが好評でした。また、インターンシップでの経験の積み重ねが次へと繋がる事や、希望の会社へ何十回と応募した結果採用されたという経験談には、“今もってチャレンジ精神の大切さを思わされた”とのコメントがあり、このセミナーの趣旨が確実に伝わっている事に手応えを感じました。

内向き志向といわれる世代の中でも、今回の参加者からは「将来グローバルな視野を持って働きたい」という声が多く聞かれました。このセミナーが、参加者の皆さんの人生やキャリアの転機となる留学へ向けて少しでも役に立つ事ができたとしたら幸いです。

2013年11月19日(火)18:00~ FIT大学院の「Global Fashion Management」コースおよび関連したファーストリテイリング社(UNIQLO)の奨学金に関する説明会を開催

「ファッションビジネスのグローバル人材を育成するFIT」をテーマに、米国FITから二人の教授を招き、「米国における大学院教育の進化」とFITのユニークな修士課程「Global Fashion Management(GFM)コース」について紹介するセッションを、2013年11月19日(火)に開催しました。

このFITのコースには、ファーストリテイリング社(ユニクロ)の留学奨学金が、日米カウンシルの「TOMODACHIプロジェクト」として設置されています。

会場は東京ミッドタウンのユニクロ本社の会議室をお借りする形で開催され、受講者は留学を希望する学生や社会人、企業の人事担当者、大学の学生キャリア指導者など約80名、2人のFIT講師が啓発的なプレゼンを行い、受講者は熱心に聞き入っていました。質疑応答の時間では、時間一杯多くの質問が出されて非常に熱気あふれるセミナーとなりました。

また、TOMODACHI-UNIQLO奨学生の第1号でこの秋からFITで学んでいる小池夏子さんからのビデオ・メッセージが紹介され、GFMコースの臨場感が伝わり、セミナー参加者にとって、強い動機付けとなりました。(メッセージはここをクリック

日本FIT会としては、今回のセミナーは企画の狙い通りの結果を得られ、大成功であったと自己評価しており、今回の受講者からGFMコースへの留学希望者も増えそうであることを喜んでいます。

繊研新聞にその記事が掲載されていますので、ご関心のある方は、ここをクリックしてpdfをご覧ください。

このセッションの開催にご協力いただいた皆様に心より感謝いたします。

 

 

 

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セミナーの開会にあたり趣旨説明を行う日本FIT会会長の尾原蓉子

 

 

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講演するMary Davis教授

 

 

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講演するPamela Ellsworth教授

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熱心に質問するセミナー参加者

FIT大学院のディーン、教授をお招きして「懇親会」を開催

去る2013年11月18日(月)、東京、青山のアイビーホールにて来日中のお二人(Dr. Mary DavisとMs. Pamela Ellsworth)をお招きして、FIT卒業生による懇親会が開かれました。月曜日の夜という事もあり、参加できる卒業生の数は限られていましたが、各年代、様々なコースを卒業した卒業生が東京はもちろん関西からも参加し、和やかな雰囲気の中で楽しい時間を過ごしました。

お二人も異国での思わぬ歓迎に大きく感激され、改めて日本FIT会の活動と結束力に敬意を表していただきました。

2013年7月31日(水)、日本FIT会のセミナー及び懇親会が開催されました。

 

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今年3月に開催されたFITセミナー「オムニチャネル時代のファッション・ビジネス」にてコーディネーターをつとめていただいた中嶋茂夫氏(FIT卒業生)を講師としてお迎えし、「ビジネスにおけるソーシャル・メディア(SNS)の利用・活用法」というタイトルでセミナー(勉強会)を開催しました。会場は、渋谷にある「田中千代学園」の教室をお借りし、勉強会終了後には軽食での懇親会も行われました。

開催日が週中であったためか参加者数が幹事が期待していたよりも少なかったのが残念でしたが、FIT会のメンバーによるメンバーを対象にした(メンバー外も参加可)勉強会は初めての試みであり、これからもこのような形での勉強会を開催して行きたいという幹事の意見がありました。

日本FIT会主催のFITセミナー第3弾
「オムニチャネル時代のファッション・ビジネス」が
2013年3月21日に開催されました。

 

受講者募集のチラシはこちらに・・・

 

セミナーのテーマは「オムニチャネル時代のファッション・ビジネス―ブランディングと顧客エンゲイジを成功させるソーシャル・メディア活用法」です。受講者は 170名、会場の六本木アカデミーヒルズのオーディトリアムに補助席を入れるほどの大盛況でした。参加くださった皆様に厚く御礼を申し上げるとともに、「オムニチャネル」という、小売業を大きく変革する新たなビジネスのやり方に関心を持たれる方が多い事を、主催者として心強く感じました。

 

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熱気に包まれた会場の様子

受講者アンケートの結果(1/2)「受講の目的、理由」・・・

 

講師には、ニューヨークのFITからテッド・チャクター氏をお迎えしました。また、「オムニチャネル」という言葉と概念が、日本ではまだ十分理解されていないことから、セミナーは3部構成とし、チャクター氏の基調講演の前後に、第1部として「オムニチャネル時代とは」を大島 誠氏に日本語でお話しいただき、また同時通訳で行われたチャクター氏の講演の後に、第3部として、Q & Aセッションをもうけ、FITの卒業生でもある中嶋茂夫氏がコ―ディネーターで会場から活発な質疑を受ける、という形で行いました。

セミナーの冒頭には、日本FIT会会長の尾原蓉子がセミナーの狙いを、次のように述べました。「現在米国では、モバイル(スマホやタブレット)の急速な普及と、先行企業の革新的な取り組みによって、「オムニチャネル」が小売業を劇的に変えつつある。これに対し、日本は大きく遅れをとっており、このままでは、IT装備の消費者の期待にこたえられないばかりでなく、アマゾンをはじめとする海外企業との競争(日本市場での)にも敗北しかねない。」

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日本FIT会 会長 尾原 蓉子

 

セミナー受講者の満足度は非常に高く、アンケートの集計では、「セミナーの全体としての満足度」が9割以上また、「全く新しいオムニチャネルという概念が、よく理解できた」、「これから何をなすべきか、が分かった」等の声が多く寄せられました。

 

受講者アンケートの結果(2/2)「総合評価」・・・

 

 

セミナーの内容は、以下の通りです。

<第1部:「オムニチャネル時代とは」>

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講演中の大島 誠氏

 

講師の大島 誠氏は、日本でのオムニチャネル推進の第一人者で、長年にわたって外資系 IT 企業で日本の小売・流通業のためのソリューション・スペシャリストとして活躍されて居られる方です。講演はまず「オムニチャネル」とは何か、その本質は? といった基本的、かつ奥深い意味合いを、<オムニチャネルの構図>を使って分かりやすく説明されました。小売業と顧客の関係が、時代とともに「シングルチャネル(店舗と顧客の単一接点)から「マルチチャネル(複数接点)」へ。さらに「クロスチャネル(ネットで買って店舗で受取り、などのチャネルの交差が可能)」になり、そして「オムニチャネル」へと発展してきた経緯です。「オムニチャネル」が他と全く異なるのは、それが“シームレス(チャネル間の境目が無い)”なこと。また、“チャネル横断型の商品・顧客・販促管理”、すなわち、商品在庫の一元管理と、顧客情報(購買履歴を含む)の一元管理、また販促管理との連動ができるようになることです。

大島氏の「オムニチャネル時代の忘れてはならないキーワード」8項目は下記です。

  1. シームレス(業種・業態の垣根なし)
  2. 神出鬼没なお客様(いつ、どこに現れるか分からない、つかめない)
  3. スマートフォーン、タブレット端末(革新的役割)
  4. 生活に密着(Walgreen事例:“角の店”がやってくる)
  5. 4Rから5Cへ = マーケティングは真の消費者・生活者視点へ従来のアプローチ = 4R(Right Product, Price, Place, Time)5C = Customer, Content, Community, Commerce, Context、へ
  6. リアル店舗の重要性
  7. 人材
  8. 「楽しく」「わくわく」「おもてなし」

オムニチャネルの本質を大島講師は、「単なる O 2 O といった、ネットとリアルの融合戦略だけではない。『オムニチャネル』を推進すればするほど『リアル』が実は重要になる。リアル店舗は、その特性を活かす事が重要。リアルならではの『おもてなし』でいかに楽しくショッピングをしてもらい買っていただくか。そのためには、接客とそれに当たる人材が非常に重要」と強調されました。

 

<第2部:基調講演>
「オムニチャネル時代のファッション・ビジネス―ブランディングと顧客エンゲイジを成功させるソーシャル・メディア活用法」

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講演中のテッド・チャクター教授

 
基調講演の講師は、このセミナーのために米国から来日した、FIT のテッド・チャクター教授でした。チャクター氏は、米国で広告・マーケティング業界のエグゼクティブとして活躍されたのち、FIT の教授に就任。引続きマーケティングとソーシャル・メディアの先端動向を的確に捉えながら企業のコンサルタントも勤めている方です。

講演はまず、(1)米国におけるEコマースの急拡大の現状から始まり、次いで(2)ソーシャル・メディア(日本で言うSNS)の米国および世界での普及の実態、(3)ソーシャル・メディアの種類と特徴および効果的な活用法、(4)オムニチャネルに取り組む際に必要な目的の明確化、(5)企業事例、と続きました。

 

(1)米国でのEコマースの拡大:

米国では、19世紀からカタログによる通信販売が広く利用されていました。Eコマースはその進化形として発展し、いまや消費者がネットでの買い物に慣れたばかりでなく、その利便性ゆえに、今後もさらに利用を拡大すると予測されています。図に見られるように、Eコマースは、2012年で 2242億ドルに達したと見込まれており、2016年には3620億ドルになると予測されています。増加を加速するのは、チャクター氏によれば、消費者が複数のデバイスを使って多数のチャネルとつながること、および、新たにオンラインに進出しEコマースチャネルを推進するブランドが増加するため、といいます。

 

<米国におけるEコマース取引の売上総額> (単位10億ドル)

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E コマースのカテゴリー別総売上額を見ても、トップは「音楽・ビデオ」の879億ドルですが、アパレルや家庭用家具インテリア関連商品が、(当初は「現物を触らないでは買えない商品」と考えられたにもかかわらず)それぞれ第 4 位、第 5 位を占め、金額も「アパレル・アクセサリー」で785億ドル、「家庭用家具インテリア関連商品」で783億ドルになっています。E コマースは、もはや米国では日常生活に欠かせないものになってきているのです。

 

(2)ソーシャル・メディアの米国および世界での普及の実態:

ここでは、日本に関する驚くべき数字が紹介されました。図に見るように、世界各国ではソーシャル・メディアの活用がかなり進んでおり、日本の利用者の対人口比率は58%と大きく遅れをとっています。2011年のデータではありますが、主要国では中国(ソーシャル・メディアを政府が規制している)の53%に次ぐ、最下位から2番目に位置します。これはComScore Media Metix 社が2011年10月に報告している43カ国の調査結果ですが、主な国をみると、米国の98%、英国98%を筆頭に、フランス、ドイツ、ブラジルなど、すべて90%以上の普及率。アジア諸国でも、香港、インド、インドネシア、シンガポール、いずれも90%を超えています。ロシア、韓国、ベトナムでも80%台です。日本での普及率が他の国と比べて低いのは、「自分の名前を出して意見を言う」ことに慣れていないこともあると思われますが、若者への普及が加速していることから、拡大は時間の問題と思われます。また企業側がソーシャル・メディアを積極的に活用することにより、その意義を消費者が理解する、という卵と鶏の関係にあることも事実です。

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ソーシャル・メディアには多くの種類があり、それぞれ特徴があります。下記は、各種のソーシャル・メディアのアイコンです。(FITセミナー資料より)

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米国で最も使われているソーシャル・メディアは、下記の表で見られるように、Facebook、 Youtube、 Twitter、 Pinterest ですが、日本では、アクセスの多さ順位に、1. Twitter、2. Facebook、3. Mixi が利用されています。

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米国においてソーシャル・メディアを利用する利点は、次のようになっているとのことです。(マーケティング関係者への調査: % はそれが重要と答えた人の比率。 出所: Social Media Examiner, 2011)

1. 会社への注目度向上( 85% )、2. 集客・来訪者増加( 69% )、3. 的確な手掛りの取得( 58% )、4. 検索エンジン順位上昇( 55% )、5. 新規取引先獲得( 51% )、6. マーケティング経費削減( 46% )、7. 売上増加( 40% )

 

(3)主なソーシャル・メディアの特徴:

  • Facebook = ブランドの露出という点では、ブランド・ページの効果は大。顧客とのコミュニケーションの面では、ファンの引き込み、懸賞やコンテストなど、繋がるために最適。集客面では、シェアボタンでのページへの誘導は可能だが多数のクリックは期待できない。
  • Twitter = 露出面では、ホームページとの統合や、クチコミ的に顧客と繋がる独特なチャンスを提供。ブランドを目立たせる効果は大。顧客とのコミュニケーション面では、会話も可能だが、ソーシャル・メディア・ダッシュボードを利用し、キーワード検索で、人が喋っていることを確認するのが効果的。
  • YouTube = 露出面では、面白い内容のビデオでプロモートできれば、ウェブ上で最も強力なブランディングのツールとなる。顧客とのコミュニケーションでは、楽しませ、情報を与えるし、ブランドの提示が目的であれば、ビデオは早急に顧客をひきこむチャネルである。集客面では、トラフィックはビデオへ繋がる。それをホームページへ戻したければ、リンクが必要。

 

(4)オムニチャネルに取り組む際に必要な目的の明確:

オムニチャネルにおけるソーシャル・メディアの選択では、自社のオムニチャネル戦略の目標との兼ね合いで、有効なものを選ぶことが重要だとチャクター氏は強調しました。

オムニチャネルが、「あらゆるチャネル」、「顧客から見て360度の視野」を意味するからと言って、全てのチャネルに取り組まねばならないという訳ではありません。自社の戦略や、コミュニケーション手法の優先順位、資源(資金や人材)の制約等も考え、より適切なものを選択する必要があります。米国で企業が選択しているソーシャル・メディアを、多い順にあげると、 1. Facebook ( 82.4% ) 、2. YouTube  ( 41.9% ) 、3. Twitter  ( 36.5% ) 、となっています。(2012年 出所:emarketer.com )

さらにオムニチャネルの実施に当たっては、消費者の行動モニタリングが重要です。そのための KPI(重要経営指標)として、チャクター教授は5つ挙げています。重要経営指標とは、“企業のゴール(目標)へ向けた進捗状況を明らかにし、数量化できる手法”です。経営者が現状を迅速に把握し、速やかに行動をおこせるように、 複雑な要素を一つの指標であらわしたもの。対策としての行動をとれるものでなければなりません。

 

5つのKPI(重要経営指標)とは下記の通りです。

  1. コンバージョン率 = 来訪者に対する購買客の割合。
  2. 平均受注額 = 平均受注額は利益率に影響する。
  3. Visit バリュー = サイト訪問全体に対する利益の割合。
  4. 顧客ロイアリティ = 新規顧客の既存顧客に対する割合。
  5. 検索エンジンからの照会 = 業界平均に対する、検索エンジンからの照会の割合。

 

(5)オムニチャネルを実践している企業事例:

セミナーでは4企業が紹介されましたが、ここではメイシー百貨店を紹介します。

米国のみならず世界で最大の百貨店、Macy’s社の事例は、伝統的な百貨店からオムニチャネル小売業者に変換した象徴的事例として紹介されました。

メイシー百貨店が取り組んだオムニチャネルに関する施策を上げます。まず、顧客サービス向上のために店員にモバイル機器を支給。また在庫管理を効率的にするため商品には無線タグ(RFID)をつけ、店舗に無い商品はネット在庫あるいは他店舗在庫から‘顧客に直配’できる体制を作りました(2011年には、そのように直配された商品が700万点以上に上ったとの事)。

また、オムニチャネルとあわせて取り組んだ“My Macy’s 戦略”(顧客へのパーソナル化、ローカル化の戦略)に絡んで、異なる時間帯に買い物をする色々な顧客に対応するために、いつでもすぐに着替えができるデジタル・マネキンを用意しました。さらに、部門または日時によってビデオを編集できるよう、新しいビデオの放映システムを完備し、店頭でのショッピングをオンライン体験と似たものにする為、店内にキヨスク(顧客用端末)を設置しています。つまり、従来の店舗が、リアルとデジタルのブレンドに変わりつつあるのです。

これらと多様なPB戦略もあわせ、メイシーは、まさに「顧客セントリック」、すなわち“顧客が主体的に”店舗・モバイル・ネット・店舗キヨスクなど、あらゆるチャネルでシームレスに買い物できる体制を作り上げています。

その結果、オンラインの売上金額が2010年から2011年で40%増、2012年12月で51.7%増、2012年累計で40.4%増になったと言います。

 

<第3部:質疑応答>

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「質疑応答」のチャクター教授(写真:左)と中嶋茂夫氏(写真:右)

 
中嶋茂夫氏のコーディネートによるQ & Aセッションでも、活発な質問が呈示されました。中嶋氏は、ソーシャル・メディアのコンサルタントとして、中小企業の指導もしておられることから、質問に対するチャクター講師の答に加えて、日本の実情を踏まえた解説や、中嶋氏自身の経験に基づくアドバイスを加えて頂いた事が好評でした。

質問を一部紹介します。
「米国ではウォルマートやメイシー等の大手総合小売業がネット販売比率が高いが、日本では、それが低い理由はどこにあると思うか」との質問については、「自社が扱っている商品の在庫をリアルタイムで完全に把握できない現在の状態では、顧客に満足してもらえるネット販売は難しい。委託販売等の商慣習が障害になっているのでは」とのチャクター講師のコメントがありました。「その中であえてオムニチャネルに取り組むとすれば、差別性ある、すなわち価格競争に陥らない自社商品を増やすこと。大事な顧客を重視しサービスのカテゴリー化をする、などもできる。」とも。

「ネットやモバイルの使用に慣れていない、年配の顧客には、どのような取り組みをしたらよいか」といった質問もありました。チャクター講師は、「まずは、ネットでの買い物をし易くすること。心理的バリアを取り除くことが重要。たとえば、返品を容易にする。米国では、ボノボ社のように、1年後でも返品を受け付ける、あるいはノードストロムは3年前に購入したものでも、返品を受け付ける、などをしている。配送料を無料にすること、あるいは、顧客に対して『サイズや色などを多めに注文して、不要なものを返品してもらってもいい』と訴求する企業もある。」とのことでした。

 

<最後に>

「オムニチャネル時代」という、まったく新しいコンセプトを紹介し日本での取り組みを早めたいという狙いで企画しましたが、参加者の方々には、かなりのご満足をいただいたようでした。セミナーは、質疑も入れて3時間足らずの時間でしたが、アンケートで、「プログラムの組み立て」と、「各講師のプレゼンテーションの内容」、さらに「多くの資料」と「高レベルの同時通訳」、が高い評価をいただいた事を、主催者として大変嬉しく思います。

参加者の皆さま、関係者の皆様に、厚く御礼申し上げます。

(文責 尾原)

 
 

4月16日付の「繊研新聞」において、当セミナーが取り上げらました。
記事のpdfはこちらに(無断転載禁止)

 
 

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